2020 Jul. 6
第3回“光”機到来!Qコロキウム
発表1:
平田 修造(電通大院情報理工・助教)
高次励起状態の電子構造制御による高輝度且つ
高効率な長寿命室温りん光の抽出
高効率な室温りん光を示す金属錯体が認知されて20年以上が経過しているが、一般的な有機分子において室温りん光性能が著しく低い根本的な理由は不明瞭である。本講演では、三重項状態からの分子のりん光に関わる各種速度因子に関して実験データと量子化学計算データの相関性を紹介しながら議論する。振動スピン軌道相互作用を加味しながら高次励起状態の電子構造を制御すると50%を超える収率と1秒を超える寿命を有する室温りん光を示す分子を見出すことが可能である。このようにして戦略的に得られた高輝度蓄光型の室温りん光の潜在的な応用等に関しても紹介する。
発表2:
倉重 佑輝(京大院理・准教授)
電子を回せ! 最先端の励起状態理論と分子のマイデザイン
理論研究のお話です。私のグループでは励起状態や金属錯体など量子的に複雑な構造をもつ電子状態の理論開発と、それらの光機能デザインを目指した応用研究を行っています。いまや量子化学計算は実験研究者にもすっかり浸透し、お手軽(ブラックボックス的)な分析装置として定着しています。しかし、閉殻電子系やHOMO-LUMO励起から一歩外に出ると、信頼性と手軽さを両方備えた手法が確立されておらず理論の荒野が広がっています。本講演では量子情報圧縮に基づく最先端の高精度理論と、π共役系の電子スピン偏極や金属錯体スピンクロスオーバーなど電子スピン変換に着目した最近の研究について紹介します。
Youtube チャットコメント一覧:
講演1:平田 修造(電通大院情報理工・助教)
質問① Kiyoshi Miyata S5あたりが重要ということですが、T1とのエネルギー差はどのくらいでしょうか?
質問② Takashi Hirose
質問③ Yosuke Tani
質問④ Yousuke Tani
質問⑤ Ken Albrecht
質問⑥ Yuki Kurashige
質問⑦ Tomokazu Yasuike
質問⑧ Youhei Takeda
質問⑨ Takashi Hirose
質問⑩ Yoichi Kobayashi
講演1:倉重 佑輝(京大院理・准教授)
質問① Kiyoshi Miyata
それにしても50 fsでスピン転換×2は相当早いように思えるのですが、Fe(bpy)3に関しては何かほかの秘訣があるのでしょうか?
質問② Kiyoshi Miyata
偏極についてですが、アントラセン、ペンタセンでの比較とはどう様子が変わりますか? ジアザ化?の効果がどんなもんか気になります
質問③ Nobuhiro Yanai
ペンタセンの偏極、分子のコンホメーションはどの程度効きそうでしょうか?
質問④ Akio Yamauchi
金属ポルフィリンはJahn-Tellerひずみによって完全には縦横比が同じにはならないと思うのですが、その影響はないのでしょうか?
質問⑤ Nobuhiro Yanai
ダイナミクス、遷移速度まで計算することは可能でしょうか
質問⑥ Yosuke Tani
かなり広い質問で恐縮です。重原子効果と分子軌道についてです。いわゆる重原子を入れることによるスピン反転の促進は、分子軌道の角運動量変化によるスピン反転の促進と合わせて理解することはできますか?「回る」分子軌道に重原子が係数をもっているかどうかの関係に興味を持っています。